みなさんヒツジはお好きでしょうか。ヒツジは世界的にメジャーな家畜で、いろんなところで飼われています。かわいいヒツジですが、ヒツジのしっぽってどんなのか想像できますか?うさぎみたいな短いもこもこのしっぽを思い浮かべる方も多いと思います。でも本当のしっぽは違うんです。今回はそんなヒツジのしっぽについて解説したいと思います。
ヒツジのしっぽ本当は長い
ヒツジのしっぽって丸くてふわっとしたやつだよね?と思う方も多いのはでないでしょうか。実はこれもある意味正解で、牧場で飼われている多くのヒツジのしっぽはこんな感じです。
まるっとしたかわいいしっぽですね。
さてここで赤ちゃんヒツジを見てみましょう!
ほら。
ありますね!普通に長いしっぽが生えています。そうなんです。本当はヒツジのしっぽは長いんです。ちなみに顔の色が違うのは品種が違うからです。その辺はつっこまないでください。
ではなぜ大人のヒツジのしっぽは短いのでしょうか。
それはこどものときにしっぽを切ってしまうからです。誰しもが想像した答えですね。すみません。
ヒツジの断尾処理
子羊は生まれてから数週間でしっぽをもぎとられます。日本語では断尾処理とかって言うそうです。やり方は2通りあって、しっぽの付け根にゴムバンドをはめておく方法と、電気バサミで焼き切る方法です。
僕が訪ねた農場ではしっぽの付け根にゴムバンドをはめて、血を止めておく方法がとられていました。ゴムバンド装着の様子がこちら。
あられもない姿です。とってもラブリーですね。しっぽの付け根にちらっと見える黄緑のものがゴムバンドです。おわかりいただけますでしょうか。
こんな器具を使ってかたーいゴムバンドを広げて、しっぽに通します。
ゴムバンドで血流が遮断されると、3週間くらいでしっぽがポロっととれます。こんな感じで農場に落ちています。
ぱっと見るとただのふわふわの棒です。鳥が持っていくので知らない間になくなっていたりします。
ヒツジ農家ではこの断尾に加え、去勢とイヤータグの取り付け、ワクチンの接種を同時に行うことが多く、子羊シーズンは重労働になります。英語ではこの子羊への一連の処置をLamb markingとかって呼びます。
どうしてしっぽを切るの?
しっぽを切る一番の理由は、
汚くなるから
です。もこもこのしっぽはウンチがこべりついてすぐに汚くなってしまいます。そしてハエがたかってしまうんですね。
ハエくらいいいじゃない!と思うかもしれませんが、ハエの仲間にはヒツジの皮膚に卵を植え付けてしまうものがいます。もちろんそこからウジがわいて、ヒツジの皮膚を食い荒らします。そうなるとヒツジは売れなくなってしまいますよね。オーストラリアでは年間1億7000万ドルほどの損害が出ているとの試算もあり、たかがハエとバカにできるものではないんです。
僕も実際に見たことがありますが、やっぱりウジって気持ち悪い。マニアのために写真を載せておきます。見たくない人はさっとスクロールしてね。これは首にわいたウジです。ピンクの皮膚が露出して、その左側にウジが見えます。
また牛のしっぽは振り回すことでハエなどを追い払うのに役立ちますが、重たいヒツジのしっぽはそんなに激しい動きはできません。交尾の邪魔になってしまうとかって言う人もいます。つまりとっておいても百害あって一利なし、といった感じなんですね。
ちなみにしっぽが残っているヒツジはこんな感じです。
確かに重たそうで汚れやすそうなしっぽですよね。
まとめ
ヒツジのしっぽは本来もこもこで長いものです。でもそれが汚れやすくて邪魔になってしまうんです。だから子どものうちにしっぽをとってしまうんですね。
しっぽをとるなんてかわいそう!と優しい方は思うかもしれません。でも逆にしっぽを残したら、うんちまみれのしっぽをずっとぶら下げたまま生きていくことになり、そこからウジがわきやすくなってしまいます。その方がヒツジにとっても、農家にとってもよろしくないことなんですね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!