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日本には国公立11大学、私立6大学の合計17の大学に獣医学科が存在します。どの大学でも獣医師の資格を得ることはできますが、その就職先には特色があると言われます。今回は大学側から公開されている情報と独自の情報収集をもとに、国立大学、私立大学の就職先を比較してみたいと思います。※統計資料の読み方は個人的な見解を含むのでご了承ください。

 

進路のタイプ

獣医学生の進路は大きく、臨床、民間企業、公務員、進学の4つにわけて語られることが多いです。さらに分けるとしたら産業動物臨床、小動物臨床、民間研究開発職、その他民間企業、地方公務員、国家公務員、進学といったようになるかと思います。

 

詳細はこちらの記事で!

 

よく私立大学は小動物臨床に行く人が多く、国立大学では公務員や民間企業の割合が増えるとかって言う人がいます。確かにその傾向が当てはまるケースもありますが、やはり一口には語れません。そこで、今回は実際にはどんな傾向があるのか、わかる範囲でまとめてみたいと思います。

 

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国立 VS 私立

各大学の統計資料を読み漁ってみるとなんとなく傾向がわかってきました。とりあえず、進路統計をわかりやすく出していたいくつかの大学で比較してみました。(北大:H30,鳥取&岐阜:H24~H29、日獣:H28、麻布&日大:近年のまとめ)

 

 

※僕の解釈でカテゴリーわけをしたので間違いはご容赦ください。

 

 

  • 臨床に進む人が大多数

北海道大学を除く5つの大学で臨床、つまり動物のお医者さんになる学生の割合が最も高いことがわかります。特に私立は5割~7割が臨床です。やはり私立大の方が「獣医さん」になりたい!と思って入ってきている学生が多い印象はあります。

 

 

      • 二番目に多いのは公務員

      公務員は主に地方公務員です。都道府県や市町村に勤務して家畜の病気を管理したり、食中毒を取りしまったりするお仕事になります。北大を除く国立大では公務員になる卒業生の割合が、私立大より高いことがわかります。

       

       

          • 企業就職、進学組は少数派ただし北大では多数派閥

          それ以下は企業に行く学生、進学する学生がちらほらといった感じです。その他の大学でも似たような傾向でした。ただし、北海道大学では企業の割合が最も高く、臨床と公務員の学生が同程度の割合で後に続きます。進学する学生の割合も高いです。臨床に進む学生が少なく、その分企業と進学が多くなっているといった感じでしょうか。東大も似たような傾向があります。ちなみに獣医学部は6年制なので、進学は4年間の博士課程へ進むことを意味します。

           

          進路の傾向
          • 国公立大
            臨床 > 公務員 > 企業 > 進学

           

          • 私立大
            臨床 >> 公務員 >> 企業≧進学

           

          • 東大・北大
            企業&進学が多い。臨床≒公務員?
            割合の順位は明確でないことが多い

           

          詳しい進路の割合

          上で3つの傾向に分けられそうなことがわかったので、傾向別にもう少し詳しく見てい後と思います。

          国公立大学

          例として岐阜大学の過去5年間の統計を見てみるとこんな感じになっていました。

           

           

          北大・東大を除く国公立大では大体こんな感じになっていました。臨床の中でも多くは小動物臨床いわゆる動物病院の獣医さんで、牛や馬などの大動物(産業動物)を診る獣医さんは数パーセントです。

           

          公務員の中はほとんどが都道府県、市町村などに所属する地方公務員で、厚生労働省や農林水産省といった省庁に勤務するような国家公務員は数パーセントです。

           

          岐阜大学では民間企業に行く学生が比較的多めです。就職先の情報は得られませんでしたが、獣医学生の就職先としては製薬企業が最も一般的かと思います。

           

          他の大学の就職先情報をもみると、例えば東京農工大学 (H29年度)のデータでは住友化学、資生堂リサーチセンター、共立製薬などが挙げられています。大手製薬企業に行く学生も若干名ですがいるようです。

           

          私立大学

          例として日本獣医生命科学大学のデータを参考にするとこんな感じでした。

           

          傾向は大体同じですが、大きな違いは大動物臨床の割合が高いことでしょうか。私立大学ではどこもそうってわけではないと思います。これは地域性なのかなーとも思いますが、産業動物に行く人が多い大学はやはりあります。

           

          私立大で言えば北海道にある酪農学園大学 (H28) では「金融・保険業」≒農業共済 (おそらく)に就職する学生が23%ほどとかなり高い割合です。農業共済の獣医さんは保険に入っている畜産農家さんの家畜の診療を行っており、産業動物獣医師に含まれる場合がほとんどです(統計資料によりますが...)。

           

          その他の傾向は大体同じですね。公務員はやはり地方公務員が大半です。募集人数から考えても当然です。こうした公務員の採用は私立、国立のわけや大学に関係ないため、どちらに進学しても自分次第で採用を勝ち取れるはずです。

           

          東大&北大

          高偏差値コンビの東大&北大はなんとなく、「おれらは他とは違うんだぜ」感を出している大学ですが、実際に進路状況を見てもその他の大学とは傾向がかなり違います。北大を例にするとこんな感じ。

           

           

          そもそも少なめの臨床では、小動物と大動物が同じくらいの割合です。公務員の内訳は似たような感じです。そしてやはり企業と進学が多いです。進学者がコンスタントに1割を超える大学はやはりこの2つで、さらに東京大学ではかなり高い割合になっています。

           

          進学者の割合
          • 東京大学=22% (平成28年度)
          • 北海道大学=13% (平成29年度)
          ちなみに東京大学の平成27年度は31名中11名と3割を超えており、さすが日本の最高学府なだけあって研究者を目指す人が多いようです。

           

           

          なぜ東大と北大の傾向が違うのか

           

           1.高偏差値の賢い学生が多い
          東大、北大が他と違旧帝国大学で入試の難易度が高いですよね。その分学問に興味があったり研究志向の学生の割合が高くなると思います。また臨床獣医師は過酷な仕事なため、それを避けて要領よく生きようとする学生も多いのかもしれません。裏を返せば、資格に頼らず民間に就職できる優秀な学生が多いとも言えます。

           

           

          2.研究環境、指導体制が整っている
          東大や北大は他の大学よりも格段に研究費を多く割り当てられているため、施設や教員数などで優れた研究環境があると言えます。こうした中で卒業研究に取り組むことで自然と研究に興味が湧いてきたり、他学部の修士課程学生に負けない研究力をつけて民間就職を勝ち取ることができたりするのかもしれません。

           

          民間の研究職の採用試験では研究成果を発表したり、研究への取り組みを評価されます。そのため研究をガツガツやれるような環境に身を置くことが大切で、もちろん各大学に優秀な研究室はたくさんあると思いますが、確率的にはやはり東大・北大の方が、ということになると思います。

           

          まとめ

          それでは進路状況の傾向から見えてきたことを獣医学部を志すボーイズ&ガールズに向けてまとめたいと思います。

           

            • 獣医さんになりたいならどの大学でも大丈夫

            入試の難易度が全然違っていても、獣医さんになるという出口はみんなに開かれています。ただ、私大の方が周りも獣医さんを目指しているので、いい刺激になるかもしれませんね。

             

             

              • 公務員になりたいならどの大学でも大丈夫

              公務員は基本的に出身大学や研究力は採用に関係ありません。そもそも人手不足なところも多いですしね。国公立では割合が高めですが、これは単に国公立学生の堅実な思想が現れているのか、学費が安く済んでいる分、まあ給料は多くないけど公務員でいいよねってなるのか、わかりません。

               

               

                  • 研究職を目指すなら国公立大学、中でも東大や北大がおすすめ

                  自分の頑張り次第ですが、やはり学部生の段階では研究成果は環境に左右されると思います。大手製薬企業の研究者になりたいという人は、東大か北大を目指すのが客観的に見ておすすめです。大学院進学の際も内部進学の方が楽なのは間違いありません。「学振」とよばれる大学院生のお給料を勝ち取るためにも、継続した研究ができる方が有利です。

                     

                     

                    いかがだったでしょうか。僕としては概ね予想通りの傾向が得られました。あえて言うなら大動物行く人って思ったより少ないんだなぁと思いました。なんにせよ、入った大学が母校になって、愛着が湧くはずです。どこだっていいは乱暴ですが、獣医業界では出身大学はあまり重要でないと言われます。自分の信じる道を進んでください。

                       

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