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ゾウの感染症

人でインフルエンザや風疹が流行するように、ゾウたちの間でも恐ろしい感染症が流行しています。

ゾウの感染性疾病として知られているものには以下のようなものがあります。

  • ゾウ結核
  • Elephant pox (ゾウの痘瘡)
  • ゾウ内皮性ヘルペスウイルス (EEHV) 感染症

このうち上の2つは人にも伝染する可能性がある人獣共通感染症です。

ゾウ結核
 ゾウ結核は古くから知られている病気で、主にヒト型結核の病原体であるMycobacterium tuberculosisの感染によって主に引き起こされます。そのためゾウから人への感染が成立し、実際にいくつかの動物園で人への感染例が報告されています。地域によって2割~5割ほどのゾウが感染していますが、慢性の経過をたどるため症状を示すのは末期になったのもです。
 広島県の福山市立動物園で結核に罹患したゾウを治療する取り組みが行われ、有名になりました。
アジアの動物園では、ゾウの鼻から観客に向けて水を散水するようなパフォーマンスが行われていましたが、これは結核感染のリスクになります。現在は見直されてきているそうですが、もし出くわしても近寄らないようにしましょう。
Elephant pox
 ゾウ痘とでも呼べばいいんでしょうか。この病気は牛痘ウイルスによって引き起こされます。牛痘は人の天然痘のワクチン開発に使われたことでも有名ですね。そのため人にも感染する可能性がありますが、症状は軽く済むことがほとんどです。ちなみに牛痘はウシが自然宿主ではなく、実は野生のげっ歯類が保有するウイルスであることが後に判明し、ここから人やウシ、そしてゾウに伝播していると考えれています。
日本にこのウイルスはなく、ヨーロッパを中心とした限られた地域にのみ存在します。ゾウで発症した例もヨーロッパのサーカスなどが多いです。数年に一回程度同居するゾウ内で流行することがありますが、ワクチンもあり、大事には至らないことがほとんどです。最近は発生もあまり報告されていないようです。
ちなみにアフリカゾウは牛痘ウイルスに耐性があり、発症するのはアジアゾウです。
EEHV
EEHVはElephant Endotheliotropic Herpesvirusの略で、日本語ではゾウ内皮性ヘルペスウイルスなどと呼ばれます。EEHVによって引き起こされる出血性疾患はEEHV-HD ( Hemorrhagic
Disease) と呼ばれ、多くのアジアゾウの命を奪っています。アフリカゾウはpoxと同じく、耐性があり、発症はしないとされています。人を含め、他の動物には感染しません。
EEHVは基本的にほとんどのゾウが持っているウイルスで、大人のゾウはウイルスに感染していても症状を示しません。症状を示すのは主に1歳から8歳の子どものゾウです。
特にストレスのかかる離乳期の赤ちゃんゾウでは発症のリスクが高いです。
 離乳などのストレスによってウイルスが増殖すると、全身からの出血などを示して死に至ります。発症すれば致死率は70%にも上り、ほとんどの仔ゾウが死んでしまいます。
 2000年代から60頭以上のゾウが死に至っています。ほとんどが飼育下のゾウですが、これは単に野生下のゾウの死を把握しにくいことによるとも考えられています。
いずれにしてもほとんどのゾウが感染しているため、散発的に仔ゾウが死んでしまうため動物園関係者を含めてかなり頭を悩ませている疾病です。
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まとめ

このページでは象の感染症でよく知られているものをまとめました。

EEHVなどはほとんどのゾウが持っていることから検査ではじくようなことができず、関係者はかなり神経質になっています。こうした問題を解決していくことも獣医師の使命でしょう。

動物の病気については知る機会が少ないと思います。動物たちを救うためにもぜひ多くの人に知っていただきたいです。また少なくとも自分の健康を守るためにも動物から人に感染するような病気についての知識はある程度持っておくといいと思います。

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