オーストラリアのビッグスケールな一本道をバイクで疾走するのは男 (女) のロマンですよね。またワーホリに来ている人には移動手段としても、Uberの足としても安くておすすめです。今回はオーストラリアでバイクを買う方法や手続き、その他のバイク事情についてお話します。
目次
オーストラリアでバイク購入
シドニーで車探し
無職でひまだった僕はオーストラリアの牧場で出稼ぎでもしようと、のこのこオーストラリアはシドニーにやってきました。しかしながら牧場がある場所は基本的にど田舎で、車がないとたどり着けません。
そこで大手掲示板Gumtreeで車情報を漁っていました。ただお金はないので2000ドルくらいで~とかって絞っていくと、やはり走行距離は15万キロ超えとかがザラですよね。修理に出したりもめんどくさいし、そういえば駐車場もない!
そんなときにふとバイクなら安いのあるし、駐車場もいらないなぁと思い至ったわけです。探してみるとバイクなら数年落ちの走行距離1万キロ以下のものが2000ドルくらいで売りに出されていました。
バイク探しは
- ディーラーに行く
- ネットで個人売買 (Gumtree、Bikesalesなど)
安く買いたい人はネットで探すのがいいですが、トラブルが不安ならディーラーに行くのももちろんありです。個人売買も難しくはありませんが、登録手続きなどが州によって違うので、いろいろ下調べをしておく必要はあります。
バイクの相場
バイクの値段は日本とそこまで変わらないと思います。僕はとにかく安くて丈夫なものが欲しかったので、安いバイクで比較的新しいものを絞っていくと大体たどり着くのはHONDAのCB125Eでした。これは日本では生産されていない、いわゆる中華バイクですが、オーストラリアの都市部では街乗り用としてトップクラスに売れているお手軽バイクなのです。
このバイクはリーズナブルさに加え、オーストラリアの免許制度では初心者練習期間は250cc以下のバイクにしか乗ってはいけないという決まりがあるため、市場に出回る数が豊富です。というわけでGumtreeで見つけたCB125Eを約2000ドルで購入したわけです。
バイクの購入方法も車と同じなので、各州のルール解説なんかは別のブログさんなんかを見てください。ちなみにシドニーがあるNSW州では登録(rego)が残っていれば、Transferの申請を出すだけの紙一枚の手続きで終了です。
バイクや車の購入後にやること
- 持ち主変更手続き(regoが残っていない場合には、安全証明(green slipやロードワーシー)を取得後、車両登録の必要あり。州によって違うので確認) →パスポートの他に住所証明が必要なので、銀行口座などを作ってBank statementを発行してもらいましょう。
- 保険→CTPという強制保険は車両登録にくっついてくるので、任意保険を検討すればよい。僕の場合はNRMAという保険会社で年間250ドルほどの保険にしました。免許取得後(車かバイクのいずれか早く取得した方から数えて)2年未満だったり、25歳未満だと保険料が倍くらいになります。
- ロードサービス→月10ドルくらいから加入可能。ど田舎に行く人やガソリンスタンドがない道を長く行く人は入っとくといいかも知れません。JAFと同じく、月払いでも一年契約なので、途中で解約しても返金はないので注意。
- LINK to GO→高速道路代金のオンライン決済アプリです。オーストラリアは都市部の一部の高速道路のみ有料で、知らずに有料区間を走っていることがあります。ナンバープレートが写真に撮られるシステムで、数日以内に料金を払わないとペナルティなんてこともあるので、このアプリをダウンロードして、ナンバーと紐付けしておくと安心です。
バイクのいいところ
最初に言っておきますが、バイクは基本不便な乗り物で、僕もなんなら車が欲しかったです。一般的な意見ではデメリットの方が多いはずです。しかしながら明らかなメリットもあります。燃費がいいとか、維持費が安いとか日本で乗るのと変わらない部分は割愛します。
無料駐車場がたくさんある
基本的に田舎や郊外では駐車場の心配はなく、路駐し放題な場所が多いですが、都市部では車の駐車スペースが限られており、路駐もチケット制や時間制限があることがほとんどです。
しかし、バイクの場合は無料駐車スペースがあるんです。渋滞緩和のため都市部ではバイク通勤を奨励しているからなんて話です。こんな感じ。
このMotorcycle onlyと書かれた場所には時間無制限でバイクを駐車できるので、泊まっているホステルに駐車場がなくてもバイクなら安心です。
また繁華街の近くには広めのバイク駐輪スペースもあったりします。ちなみにこれはブリスベンです。
風になれる
すでに苦しくなってきましたが、やはりバイクの良さは体全体でオーストラリアの空気を感じられることでしょう!うん!
バイクの乗っていると信号待ちをしている隣の車のおじさんが「Nice bike!」とかって言ってくれたり、通りすがりの人に「この寒い時期にバイクで移動してんの?クレイジーだね!」とかって褒めてもらえます。
逆にヤカラが荷物満載のバイクとアジア人を珍しがって、絡んでくることもありましたがそれは少数派かと思います。
バイクのダークサイド
というわけで、ここからが僕が本当に書きたい魂の叫びです。
オーストラリアの冬は普通に寒い
いきなりバイク関係ない話ですね。ケアンズとか亜熱帯のところは別ですが、シドニー以南の冬は普通に寒いです。朝は氷点下もあります。主に7月と8月ですね。9月くらいからは暖かくなる印象です。
あと気をつけるのは内陸の朝晩は沿岸部より格段に寒いってことです。僕はシドニーから山を越えて西に行った田舎の牧場にいましたが、朝晩は普通に氷点下なこともあり、なめた装備でキャンプ移動をしているときは普通に死にかけました。
まあすべては僕がオーストラリアの冬をなめていたことが原因で、ハンドルを握る手の感覚がないまま走り続けたのはいい思い出です。バイクから降りて震えていたら、地元警察にアル中もしくは薬物中毒を疑われ、アルコール&ドラッグテストを受けたのもいい思い出です。
オフロードがたまにある
オーストラリアは車社会で、道路もかなり整備されています。なのでハイウェイなどを走っている限りは大丈夫ですが、田舎が目的地な人はたまに舗装されていない道に出くわすと思います。
車なら「ガタガタするなぁ」くらいで済みますが、バイクだとこけるかこけないかの戦いになります。後ろの車がいかにイライラしていてもゆっくり行くしかないのです。
あと舗装されている道の路肩なんかも結構ジャリジャリしていることがあって、僕は停車しようとしてコケました。お気をつけて。
カンガルーが死神
車の場合はカンガルーと衝突しても、車がダメージを負って「クソっ」で終わることが多いかと思いますが、バイクでぶつかったらわりと命が危険ですよね。よくて相討ちですかね。バイク乗りは決して朝晩に走らないようにしましょう。
カンガルーは夕方になると、場所によってはかなりの頻度で出てくるので本当に注意が必要です。飛び出してくるというか、ワープしてきたとしか思えない現れ方をする能力者もいます。僕も最初の頃は軽く考えて夕方走っていたら、急に視界にカンガルーが現れて衝突しかけました。
クソデカトラックにふっ飛ばされる
オーストラリアの道にはクソデカトラックがいます。それが対向車として来るとかなりの風圧を受けます。怖い。片側2車線とかあればいいですが、1車線ずつの道で速度制限100km/hとかのクソデカトラックがやってくると、すれ違いざまにふっ飛ばされそうになります。
オーストラリアは普通の一般道でも郊外へ行けば速度制限が100キロ超えなことが多いので、わりとバイクを運転するのは怖いです。「高速乗らずにゆっくり行こ~っと」ができません。それが気持ちいいという人が真のバイク乗りなのかもしれませんが、僕にとっては割と苦行です。すべての道が60キロ制限ならいいのにと思います。
番外編:オーストラリアのいいところ
ここからはバイク関係なく、ロードトリップをする際に感じるオーストラリアのよさをご紹介します。
キャンプ場がたくさん
バイクだけでなく、車で旅行するときもそうですが、オーストラリアにはキャンプ場がたくさんあります。無料で車中泊できるハイウェイ沿いのパーキングエリアやリーズナブルにキャンプができるキャラバンパークと呼ばれるものなどです。
大体みんなCamper mateとかっていうキャンプサイト検索無料アプリを使っていたりします。便利です。ただ無料のパーキングエリアの多くは車中泊を前提としていたりして、バイクできてテントを張るって感じの場所ではないこともあります。まあそれでもテントを張りますが。
キャラバンパークはテントサイトなら一泊10ドルとか15ドルとか20ドルとかそのくらいで泊まれます。大体リタイア後のおじいちゃんおばあちゃんとかが、気ままにキャンピングカーで旅をしていたり、季節労働者が長期滞在していたりします。寒い中バイクで到着すると、優しいおじいちゃんとかが、コーヒーやごはんをくれたりして心が温まりました。
モーテルもいっぱい
オーストラリアには車で部屋の前まで入っていくタイプのモーテルがたくさんあります。そのためキャンプが嫌でもロードトリップのお宿には困らないと思います。
だいたい一泊一部屋100ドルくらいな感じで安くはありませんが、まあ快適です。オーストラリアは都市部のホステルを除いてホテル代はお高めなのでしかたないと思います。人件費が高いからね。
公園にBBQコンロがある
これはバイクツーリングマンには嬉しいことで、オーストラリアには街の公園などに無料で勝手に使っていいBBQコンロがあります。なので僕はキャンプ移動しているときも調理器具は持たずに、公園やキャラバンパークのコンロで肉を焼いて食べていました。素敵です。
まとめ
オーストラリアは車やバイクでのロードトリップに優しい国だと思います。なんと言っても壮大な景色やどこまでもまっすぐな道を走るのは気持ちがいいです。
僕はバイクツーリングが目的ではなく、あくまで移動手段として使っていたので、わりと苦行に感じましたが (特に冬)。まあバイクが小さくてツーリングに向かないのも原因ですね。小型バイクでの長距離移動は修行の一環と捉えています。
バイクは趣味とロマンの乗り物です。ただの移動手段なら車の方が優秀なのは間違いありませんが、オーストラリアの風 (たまにクソデカトラックの風圧)を感じるにも素敵な経験になるはずです。ぜひ安全運転で素敵な思い出を作ってください。