ジャイアントパンダが実は2つの亜種に分けられることをご存知でしょうか?今回は僕らがよく知る四川のパンダとは少し違った特徴をもつ、秦嶺パンダについてその特徴や住んでいる場所についてご紹介します。
茶色いパンダの発見
1985年、中国の山中で茶色のパンダが初めて発見されました。僕たちに馴染みのあるパンダは白と黒の被毛を持ちますが、このパンダは白と茶色でした。その後保護して繁殖を試みましたが、このパンダを白黒パンダと交配させたところ、通常の白黒パンダが生まれたそうです。
それからも数年おきに茶色のパンダは見つかっており、2009年に発見された「Qizai」と名付けられたパンダが見つかっている中で7番目の茶色パンダです。そしてこれら茶色のパンダは秦嶺亜種(日本語ではしんれい、中国語ではチンリン)呼ばれるグループに属し、実は僕らが日本の動物園で見る四川のパンダとは異なる種類であると報告されています。
パンダの種類
クマ科ジャイアントパンダ属
クマ科に含まれるジャイアントパンダ属のには現在ジャイアントパンダ1種のみが属しています。大昔には他にもジャイアントパンダの仲間が存在し、全部で5種類いたことがわかっています。しかし残念ながら残りの4種は有史以前に絶滅しており、現存するのはジャイアントパンダ1種のみです。茶色パンダはこのジャイアントパンダの中の亜種ということになります。
ちなみにレッサーパンダもパンダと名前がついていますが、ジャイアントパンダが属するクマ科ではなく、独立したレッサーパンダ科を形成するという説が現在は有力です。
ジャイアントパンダの生息地と亜種
ジャイアントパンダは長い間、1系統のみだと考えられていましたが、2005年に2つの亜種に分けられると報告されました。一つは四川省周辺の5つの山に住む四川亜種、そしてもう一つが秦嶺山脈に住む秦嶺亜種です。亜種に別れた理由にはパンダの生息地が深く関係しています。
基本的にパンダの生息地は以下のようになっています。
詳しく山ごとに見るとこんな感じです。
ジャイアントパンダは陝西、甘粛、四川の3省に生息し、秦嶺、岷山、邛崍、凉山、大相嶺、小相嶺の6山系に分布しています。地図で見てもわかるように成都付近ある秦嶺山以外の山は連なるように並んでいるのに対し、西安市付近に位置する秦嶺山のみが隔離された場所にあります。
研究者によれば秦嶺系パンダの生息域は、約1万2千年前に孤立し、他の5つの四川系パンダとの間の往来がずっと隔絶されていたと考えられています。そのため、秦嶺山に住むパンダは他のパンダとは異なる性質を持つようになったのです。
秦嶺パンダの特徴
身体的特徴
秦嶺パンダは普通のパンダと比べて次のような特徴をもっています。
- 全体的に茶色い (胸に茶色の毛)
- 頭が小さい
- 歯が大きい
白黒がはっきりしている四川パンダに比べ、秦嶺パンダは黒い部分の色が薄く、茶褐色で白い部分もやや褐色になっているのが特徴です。秦嶺パンダのすべてが冒頭の茶色パンダではありませんが、胸に茶色い毛があることは共通しているそうです。
また四川パンダに比べ、頭が小さく歯が大きいという特徴があり、より猫っぽいとも言えます。小さくて茶色っぽい姿が愛らしくとても人気になっているようですね。
生息数
2018年に発表された第4回パンダ調査結果によると、秦嶺のパンダの数は1980年代の109頭から345頭まで増加したそうです。数は少なく感じますが、生息地の広さの割には数が多いようで、野外で暮らす個体群の密度では中国内で一番だそうです。
繁殖研究センターでも18頭の出産と育成に成功していると報告されています。さらに保護活動のかいあってか、生息地の面積も1980年代は1037平方キロメートルであったのに対し、2018年現在は3600平方キロメートルまで拡大しているそうです。
まとめ
パンダが2種類いることはパンダマニア以外にはあまり知られてないようです。パンダは現在、保護活動の成果が実を結びはじめ、個体数は上昇傾向ですが依然として2000頭には満たないほどです。中でも秦嶺パンダは現在世界に300頭ほどの希少な種で、その中の茶色パンダは史上7頭しか発見されていないまさに激レアパンダです。ぜひ一度見てみたいですね。
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