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医学部と獣医学部、どちらも医学という文字が使われていますが、どのような違いがあるのでしょうか。今回は医学部、獣医学部に興味がある受験生に向けて、その違いを獣医学生の立場からまとめてみようと思います。

 

医学部と獣医学部で悩むのは見当違い?

医学部と獣医学部で悩んでいます」とか「医学部が無理そうだから獣医学部にしました」とかいう話をたまに聞きます。しかし、中の人達にとってみるとその考えはなにか違和感があります。学ぶ科目は似ていても、実際には異なる点が多いからです。

 

それでも受験生にとっては進路選択は死活問題。医学部がダメで獣医学部に行くのはおかしい!と言われても、じゃあどうすりゃいいんだよ!ってなりますよね。

 

そんな受験生のために医学部と獣医学部の違いと、類似点、どんな人なら獣医学部でも満足できるのかについて、獣医学生の視点から意見を述べさせてもらいましょう。とりあえず無理やり比べていますが、本来は比べるものではないと考えています。後述します。

 

医学部と獣医学部の理念

まず二つの学部の根本はかなり異なります。これは単純に人の医療を学ぶか動物の医療を学ぶか以上に大きいものです。

 

 

もともと獣医学は家畜を利用管理することを目指した学問であり、農学の分野に含まれます。実際農学部の中に獣医学科を持っている大学がほとんどです。そのため獣医学部では「動物の医療」を学ぶという言い方も正しいですが、「畜産利益の維持増進法」を学ぶことが根本にあります。実際に学部の授業では「犬」「猫」以上に「牛」「馬」「豚」「鶏」を学ぶ時間がかなり多いです。

 

加えて食肉の衛生管理などの、生きた動物に関わらない分野もかなり重要になってくるため、「医療」だけに興味があって来た人には退屈に感じることも多いと思います。医学部を諦めて獣医学部にしょうと考えている受験生は、このあたりを理解してから決めるべきです。

 

 

医学部:人の医療や健康維持が根本

獣医学部:家畜や食肉の管理が根本

 

 

入試の違い

獣医の方が入るのが難しい!と言う人がいますが、これは嘘だと思います!一部国立大獣医学部が一部の私立大医学部に偏差値で勝ることはあっても、一般的に国立大と国立大で比べれば絶対医学部の方が難しいと思います。だから医学部を諦めて獣医に、とかっていう人が出るわけですね。

 

もちろん一部の獣医学部の中には学科のテストは医学部の合格ラインを超えているけど獣医に入ってきている、という人もいます。ですが、全体を見ればそれは少数なわけで、やっぱり医学部の方が難しいと思います。

 

しかしながら獣医学部は入れる人数が少ない分、競争が激しいという面は否定できず、それなりに難易度が高いことは間違いないでしょう。そしてこれに見合う待遇や将来が約束されているかと言われれば、獣医学部にそんな旨味はないと言わざるをえません。

 

 

入試難易度医学部 > 獣医学部

 

 

カリキュラムの違い

カリキュラムの全体像は似ていると言えます。

 

1年生のうちは教養科目でいろいろなことを学び、2,~3年生では基礎的な科目で解剖や生理学、薬理学、病理学、感染症学などを学んでいきます。3~4年生では臨床系の科目で、診断法や治療法などを学びそのあとに控える臨床実習に備えます。4年の後半や5年生になると実際に病院に出て臨床実習を行います。

 

ただ獣医学部では医学部に比べ、臨床教育は充実していないのが現状だと思います。その代わり獣医学部では研究教育が充実していると言えるかと思います。

 

 

低学年

細かく見ていくと、前半の教養から基礎はかなり似ていると言えます。医学部も獣医学部も基礎としている生命科学の知識は同じだからです。獣医学部でも医学の教科書を使って学ぶこともあります。

 

中学年

応用から臨床科目は内容的にも異なる点が多いでしょう。臨床レベルになると情報量の差は一目瞭然で、人の医学の知見はかなり発展しているのに対し獣医学はまだまだ、ということも多く、学ぶべき臨床技術や知識は医学部の方が圧倒的に多いと思います。ただ獣医学部は広く家畜の管理法やそれぞれの動物についてその生理や病理、治療法を学ぶ必要があり、ここが獣医の醍醐味とも言えると思います。

 

高学年

5, 6年次のカリキュラムは全く異なります。医学部では臨床実習を続け、研究室配属や卒業論文は課されないのが一般的ですが、獣医学部は実習はある程度の期間のみで、その他の時間は研究室で卒業論文を書きます。医学部ではほとんどの学生が卒業後、臨床医となるのに対して獣医学部では臨床医となるのは小動物、大動物合わせて全体の半分ほどである、という違いも影響しているでしょう。

獣医学部で臨床にフォーカスしたい人は臨床系の研究室を選択するという道が用意されています。ご安心を。

 

 

医学部は臨床技術をきっちり習得獣医学部は幅広いニーズに対応

と言えるかもしれません。

 

 

卒業後の違い

先に述べた通り医学部ではほとんどの卒業生が臨床医になりますが、獣医学部では臨床獣医師になるのは半分ほどです。残りの学生は公務員として食肉の安全管理や食品安全の管理業務についたり、民間企業に就職したりします。

 

 

臨床医と獣医の年収

臨床医師と臨床獣医師を比較すれば、その待遇や社会的地位に差があるのは明らかです。状況によりもちろん差はありますが、平均すると勤務医の年収は約1500万円なのに対し、勤務獣医師の年収は600万円程度だと言われます(40歳)。

 

医師の方が人の命を扱う分、大きな重圧を背負っているということは否定しませんし、実際に過酷な現場も多いでしょう。しかし労働時間で言うとどちらも激務で大差ないことも多いような気がします。実際に大学の動物病院の研修医が休んでいるのはほとんど見ません。

 

また行政職でも医師と獣医師では手当や役職が全く違います。公務員でも上に書いた臨床医師、獣医師と大体同じくらいの額と推定されます。役職のポスト数ももちろん異なりますし、公衆衛生分野では上に立つのはほとんど場合、医系の公務員だ言われます。

 

 

生涯賃金医師 >>>  獣医師

これは言うまでもないですね。

 

 

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「医学部をやめて獣医学部」は幸せになれる?

上で見てきたように獣医学部と医学部はかなり違うものです。では、医学部をあきらめて獣医学部に来た人は幸せになれるのでしょうか。結論から言うと「幸せにはなりにくい」と思います。実際にあきらめきれずに再受験する人もいます。そして周りの獣医学部生に医師に興味がある人はほぼいません。医学的知見に興味がある人はいますが。

 

では、獣医学部に来て幸せになれる人はどんな人でしょうか。個人的にはこんな感じだと思います。

 

絶対に後悔する人 

  • 「人の命を救いたい」や「医師になりたい」と思っている人
  • 社会的ステータスや待遇を求めて医師を目指す人

 

獣医でも幸せになれそうな人

  • 医学や生命科学そのものに興味がある人
  • 研究にも興味がある人
  • 動物がもともと大好きだった人

 

獣医学部で幸せになれる人

  • 動物が好きで、診療で動物の命を助けたい人
  • 医学に興味はあるが医師という職業には惹かれない、または自分には無理だと思う人
  • ただ動物の勉強、研究がしたい。はなから臨床には興味ない人

     

    絶対に後悔しそうな人で、どうしても医学部が厳しい人は獣医でなく、薬学部や歯学部、看護学部などかいっそ全く別の学部で自分の興味や野心を満たせる道を探したほうがいいと思います。友人に1人だけ医学部をあきらめてきた人がいますが、その人はもともと動物が好きでやっているうちに今ではすっかり牛にハマっています。

     

    まとめ

    獣医学生にとって医学生は遠い存在です。「医者になるなんてすごいなぁ」と思います。また獣医学生は「ぼくらは所詮うんちにまみれる汚い学部!人間様の医学部と同じなんて滅相もない」と自分たちを卑下しながら、それに愛と誇りをもっています。結局住む世界は全く違って、僕らは僕らの学部が一番楽しくて素敵な学部だと思っているんです。そう思えそうな人たちはぜひ一緒にうんちにまみれましょう!新しい同士を心よりお待ちしております。

     

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